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住宅型有料老人ホーム風の舞での死亡事件 考えられる原因は?

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こんにちは、せいです。

世界的にも類を見ないほどの超高齢社会を迎えている日本。

社会的に介護施設が欠かせない中で、世間を騒がせるほどの事件が発生しました。

鹿児島県鹿屋市の住宅型有料老人ホーム風の舞で三日間のうちに6人もの入居者が亡くなったという事件です。

実は私、介護の業界で20年近く働いており介護職としての経験もあります

現在は介護付有料老人ホームの施設長であり、それ以外に特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、グループホーム、そして今回の事件の舞台にもなった住宅型有料老人ホームを運営しているグループ会社で運営に携わっています。

というわけでプロの目から見て今回の事件をどのようにとらえたか、書かせていただきたいと思います。

風の舞 事件の概要

まず、今回の事件がどのようなものであったかをまとめておきます。

  • 今月中旬までの約1カ月間に高齢の女性入居者6人が相次ぎ死亡、そのうち4人が3日間のうちに亡くなっている。
  • 死亡した6人は85~97歳の女性。死因は老衰2人、消化管出血、腎不全、心不全、誤嚥(ごえん)による窒息が各1人。
  • 6人のうち5人が点滴で栄養補給をしていたという。
  • 11月上旬、市に「施設で死亡が相次いでいる」 との通報により発覚。
  • 介護職員が8~9月にかけて全員退職している。
  • 夜間は本来2名で対応していたところを、当時は同ホームの施設長が1人で対応していた。
  • 死亡診断書はすべて同ホームを営む「風の村」グループ統括の波江野力(つとむ)院長が書いた。

まだ十分に事件が明らかになっているとは言えませんが、概要だけ見ても住宅型有料老人ホーム風の舞でただならぬ事態が発生していたと捉えることができますね。

介護職0なのに運営?住宅型有料老人ホームとは?

介護職員がまったくいない老人ホームが運営できるのか?と疑問を持った方も多いのではないでしょうか?

結論から言うとこれだけを取って運営できない、ということにはなりません。

というのも住宅型有料老人ホームは住居を提供するところであり、日々の生活における介護サービスは外部の訪問介護事業所が行います。

つまり「老人ホーム」という名前が付いていますが実質自宅と同じような扱いで、ヘルパーさんに来てもらったり、デイサービスに通ったりして介護保険のサービスを使う仕組みとなっています。

ですから特別養護老人ホームや介護付有料老人ホームで定められている、常勤換算法で利用者(入居者)3人に対して1人の介護職員を配置しなければならない、というような人員規定がないのです
常勤換算法についてはこちらをご参照ください→https://www.city.higashimurayama.tokyo.jp/kenko/korei/jigyousya/kourei20170703.files/jissekijoukinnkannzann.pdf

住宅型有料老人ホーム風の舞では、同グループの訪問介護事業所から介護職が訪問してサービスを提供する形を取っていました。

これ自体はほとんどの住宅型有料老人ホームが取っている手法で特に珍しいことではありません。

そして8月~9月にかけて8人全員が退職したのはこの訪問介護事業所の職員です

当然サービスを提供することはできませんから、風の舞ではその代わりに同グループの看護師が派遣されていました。

ここで疑問なのが、なぜ他の訪問介護事業所に依頼しなかったのか?ということです。

介護付有料老人ホームや特別養護老人ホームなどは外部事業所からの介護サービスを受けることはできません。

しかし住宅型有料老人ホームはそれが可能です。

先に記述した通り多くの住宅型有料老人ホームが自系列の訪問介護事業所からサービスを提供する形を取っていますが、その目的は介護保険の報酬で収益を上げるためです。

住宅型有料老人ホームでは居住するための費用を徴収しますが、こちらは大体10万円代と安く設定されています。

その代り介護保険を使った自系列事業所のサービスを使ってもらうことによって、収益を上げているのです。

自系列以外の介護保険サービス事業所を使わなかった理由として推測できるのは以下の二点です。

  1. 自系列の訪問看護事業所より看護師を派遣して、介護保険の報酬を得たかった。
  2. 自系列以外の事業所のヘルパーに施設の中を見られることを避けたかった。

①の理由であれば入居者の生活よりもお金を最優先に考える経営者であったと考えられますし、②の理由であれば相当やましい状況が施設内になったということになります。

私は恐らく両方が該当するのではないかと見ています。

いずれにしても介護職員が35~40名ほどいらっしゃったとの情報から考えて、十分なサービスが提供されていなかったことは間違いありません。

お元気な方が入居されていたならまだしも「他の施設では入れないような重度の方をうちは受け入れていた」とグループ統括の波江野力院長は記者会見で語っています。

であるならばなおさらこのサービス状況では、排泄や入浴、食事環境においてもまともな介護が提供されていなかったと考えられます

介護職8人が同時に退職のなぜ?

そもそもこの事件が起きる前のたった1か月間ほどで、8人もの介護職員全員が退職していること自体異常です

元介護職員の方が取材に対して「経営方針に対して不満があった」と答えていましたが、大きなトラブルが発生していたことは間違いないでしょう。

その原因として考えられるのは下記の二点です。

  1. 給料が適切に支払われていなかった
  2. 経営者側に対して大きな不信感を持つ出来事があった

①については退職に直結する案件ですね。

統括は記者会見で「夜勤手当を10000円から7000円に減額しようとしたところ、それが原因で退職してしまった」と述べていました。

この事業所が給料をいくら支払っていたのかわかりませんが、介護の仕事はそもそも給料が安いため、この減額が退職につながるほど大きな要因になったのかもしれません。

しかしおそらく②についても影響があったのではないかと推測します。

不正な介護保険の取り扱いであったり、あからさまな金儲け主義の運営によって介護職が不信感を持ったのではないかと考えます。

入居者が3日で4人も亡くなることはあり得るのか?介護のプロによる見解

波江野院長は「85歳を越えた高齢者はある日突然亡くなることも珍しくない」という趣旨の発言を記者会見でしていましたが、1ヶ月に6人、3日の間に4人も亡くなるなんてことが実際にあり得るのでしょうか?

これも結論から言うと、私の経験上100%ないとは言いきれないけれど、出てきている情報だけで考えても不適切な環境と死亡との因果関係はある、と考えます。

波江野院長が言う通りの重度者が多数施設に入っていたとしたら、そもそも介護施設で介護ができるレベルの健康状態だったのか?という疑問を感じますし。

介護施設は病院ではありませんから、通常維持、管理レベルの医療しか必要のない人が対象になります。

点滴によって栄養を取っていた人が6人中5人とのことですから確かにかなり重度な方が入っていますが、適切な支援を提供していれば突然亡くなるなんてことはそうそう起こることではありません。

死亡理由のひとつにあった誤嚥については、支援によって回避できる事故ですし。

死亡診断書をすべて波江野院長が書いていることについては本来怪しいことではないのですが、これだけ短期間に亡くなられていることを考えると隠ぺいなどの疑惑を持たれても仕方がないと言えます。

まとめ

今後さらに調査が進められ、事実が明らかになってくるでしょう。

しかし、現時点でもはっきり言えることは、住宅型有料老人ホーム風の舞は適切なサービスが提供できておらず、しかも回避できる方法があったはずなのにそれを怠っていた可能性が高い、ということですね。

加えて介護職員が短期間で8人も辞めてしまう会社には少なからず問題があっただろうと推測できます。

いずれにしても記者会見での波江野院長の受け答えを見ていると、亡くなられたことに対して責任を感じているようにはまったく見えませんでした。

ほとんどの介護事業所が適切にサービスを提供している中で、こういった一部の事業所による事件が世間の方に対して介護自体に悪印象を与えてしまうことが、同じ業界で働くものとして耐えがたいです。

亡くなられた方やその家族様は本当にお気の毒ですが、警察には真相を究明してもらって今後につなげてほしいと思いますね。

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